2012年10月27日

再会

 最近映画が静かなブームのようです。先日の日曜日、久し振りに石原慎太郎制作の映画を観ようと出掛けたけれど満員で断念、その代わり、そこにあったシネマクラシックDVDのあまりにも懐かしい題名に出会って購入、はやる心を抑えながら、家にとって帰ってテレビにセット。孫が来ていて何か言ってるが、ほっといて自分だけわくわくしながら映像に魅入っておりました。あゝなんと懐かしいこの音と場面。
 実はこの映画、私が中学二年の時に兄に連れられて観た忘れもしない思い出の映画だ。ヘミングウェイの「誰が為に鐘は鳴る」で、この映画を観た頃の私はまだ少年ですから、画面に登場する俳優のカッコ良さ、女優のめちゃめちゃ綺麗な事、今で言うイケメン俳優のゲーリー・クーパーとイングリット・バーグマンですが、邦画には無いダイナミックさが私を虜にしたんです。
 へミングウェイでは「老人と海」や、「武器よさらば」もありましたが、なぜか私には、最初観た「誰がために鐘は鳴る」が印象的でした。
 この物語は、一九八三年頃のスペイン動乱を舞台に、橋梁破壊の密命を受けたゲリラ工作員として派遣されたアメリカ青年の物語で、特にラストシーンで追い詰められた主人公達、仲間と愛する女性を先に逃がし、一人追手を向かえ撃つ場面。少年だったあの時は、ゲーリー・クーパーの男らしいカッコ良さのみで、命を賭して仲間を救おうとする主人公の心境とか何も分からず、強烈な印象のみが記憶に残ったまゝだった。いつかそのことの意味を知りたいと思いつつ時が経って、最近やっと原作を読んだのも偶然だった。
 少年のころ観た映画とその内容は、六十五才の今原作を読んでみて感じるものとは当然違いがあるが、しかし遠い記憶の中の映像と、原作の文中から湧き出るような想像は程よく頭の中で画像処理されて、この物語をより深く知る事が出来たのは新たな喜びでありました。
 たゞどうしてもあの映画で演じた俳優の、あの場面が観たいという思いは断ち切れなかったが、日曜日とうとうその思いが叶ったのです。観終えた感想を率直に言えば、そんなに興奮する程でも無かったというか、少年の時に脳裏に焼き付いた強烈な印象とは違っていた事だけで、思い出はそっと残した方が良かったかも知れないなと今は思っています。どうか皆さん、死ぬまでにもう一度観たいとか、誰かに逢いたいという思いは、想い出のみにそっとしておかれることをお勧めします。

二〇〇七年六月六日(第一一二八例会)
posted by まもる at 17:07| Comment(0) | 会長挨拶
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